February
22
2010
カイシトモヤ氏に、「(^_^)365(O_O)」のこと、最近の活動についてお話を伺いました。
DNPメディアクリエイトさんと、日本郵船の系列会社、NYKグローバルバルクさんのカレンダーのために12枚のコラージュイラストレーションを描き下ろしたことがあります。でも、そのときはアートワークのみの提供で、玉組のデザインなどはする機会がなかったのです。
カレンダーは見た目が派手なビジュアルが主役のようですが、本来は玉組が主役だと思います。僕も愛用している葛西薫さんのANDO GALLERYカレンダーのファンが多いのも、玉組が完璧な美しさだからですよね。
どのようなお気持ちで制作されましたか?
スーパーファインカラーというCMYK、RGB(の疑似色)の7色を使って印刷する手法でしたが、普段プロセス4色で表現できる色域の狭さにストレスを感じることも多かったので、これは良いカタルシスになると思いました。
だから最初に考えたのは図版の内容ではなくて、色のことですね。普段諦めているような色、蛍光系の緑色や深い青紫などのCMYKで表現不可能な色をふんだんに使ったデザインにしようと思いました。
そのあと、担当のアイワードさんからアドバイスを受け、7色とFMスクリーニングによる表現は微妙な階調表現にも向いているということを聞き、異なる質感を組み合わせた技法を使ってみようと思いました。
具体的には一度スタジオで写真を撮影し、それをアナログで切り貼りした上に水滴をのせている、という3層の物質的な表現が組み合わさっている図版です。
モデルの女の子に、プロセス4cで出にくい色の組み合わせの服を着てもらいました。スタイリングのテーマが「CMYKのガモット超え(笑)」
出版記念のトークイベントでも同じ内容を話したのですが、物質的な段階まで含めた本物のグラフィックデザイン作品集だ、というのを強く感じました。例えばJAGDAの年鑑である「Graphic Design in Japan」では多数の作品が収録されていますが、これは作品を複写したものを掲載用に縮小して、色はプロセス4cで擬似的に再現し、物質感も写真に写ったそれでしかないですよね。
しかし、 「(^_^)365(O_O)」はそうではありません。JAGDAに所属する多くのデザイナーによる、実際のサイズ、印刷、物質表現による、本物が集積された作品集なんです。これはとても意義があることですし、貴重な存在だと思います。
昨年は札幌の寺島賢幸さんと一緒にJAGDA TOKYOで展覧会をさせていただきました。二人展とはいえ、自分名義で展覧会をするのは初めてでした。たくさんの方にご来場いただいて、とても嬉しい思い出になったし、そこで作ったポスターなどが今年のいろいろな年鑑に入選しました。「Hand-scape」という作品はAPAアワード2010の金丸重嶺賞を受賞しましたし、「Graphic Design in Japan 2010」にも掲載予定です。心からやってよかったと思った展覧会でした。
その反動か(笑)、今年は特に展覧会などの予定はありません。今年はどちらかというと、よりしっかりと根をはった仕事に注力する年にしないといけないと感じています。これまではCDジャケットなど、音楽系の仕事が中心でしたが、今年はそれらをしっかりこなしつつ、もっと新しい領域に踏み込んでいく必要があると感じています。
カイシさんのプロフィールはこちら
room-composite
■「カレンダー」という仕事について
今までカレンダーのお仕事をされたことはありますか?DNPメディアクリエイトさんと、日本郵船の系列会社、NYKグローバルバルクさんのカレンダーのために12枚のコラージュイラストレーションを描き下ろしたことがあります。でも、そのときはアートワークのみの提供で、玉組のデザインなどはする機会がなかったのです。
カレンダーは見た目が派手なビジュアルが主役のようですが、本来は玉組が主役だと思います。僕も愛用している葛西薫さんのANDO GALLERYカレンダーのファンが多いのも、玉組が完璧な美しさだからですよね。
■「(^_^)365(O_O)」の制作について
今回のカレンダーは、担当する日と印刷技術がランダムに振り分けられましたが、どのようなお気持ちで制作されましたか?
スーパーファインカラーというCMYK、RGB(の疑似色)の7色を使って印刷する手法でしたが、普段プロセス4色で表現できる色域の狭さにストレスを感じることも多かったので、これは良いカタルシスになると思いました。
だから最初に考えたのは図版の内容ではなくて、色のことですね。普段諦めているような色、蛍光系の緑色や深い青紫などのCMYKで表現不可能な色をふんだんに使ったデザインにしようと思いました。
そのあと、担当のアイワードさんからアドバイスを受け、7色とFMスクリーニングによる表現は微妙な階調表現にも向いているということを聞き、異なる質感を組み合わせた技法を使ってみようと思いました。
具体的には一度スタジオで写真を撮影し、それをアナログで切り貼りした上に水滴をのせている、という3層の物質的な表現が組み合わさっている図版です。
モデルの女の子に、プロセス4cで出にくい色の組み合わせの服を着てもらいました。スタイリングのテーマが「CMYKのガモット超え(笑)」
■「(^_^)365(O_O)」全体について
初めて出来上がったブックをご覧になったとき、どのように感じられましたか?出版記念のトークイベントでも同じ内容を話したのですが、物質的な段階まで含めた本物のグラフィックデザイン作品集だ、というのを強く感じました。例えばJAGDAの年鑑である「Graphic Design in Japan」では多数の作品が収録されていますが、これは作品を複写したものを掲載用に縮小して、色はプロセス4cで擬似的に再現し、物質感も写真に写ったそれでしかないですよね。
しかし、 「(^_^)365(O_O)」はそうではありません。JAGDAに所属する多くのデザイナーによる、実際のサイズ、印刷、物質表現による、本物が集積された作品集なんです。これはとても意義があることですし、貴重な存在だと思います。
■ご自身の近々の展示・制作等に関しての情報
今後の活動における展望や、開催事があれば、教えて頂けますか?昨年は札幌の寺島賢幸さんと一緒にJAGDA TOKYOで展覧会をさせていただきました。二人展とはいえ、自分名義で展覧会をするのは初めてでした。たくさんの方にご来場いただいて、とても嬉しい思い出になったし、そこで作ったポスターなどが今年のいろいろな年鑑に入選しました。「Hand-scape」という作品はAPAアワード2010の金丸重嶺賞を受賞しましたし、「Graphic Design in Japan 2010」にも掲載予定です。心からやってよかったと思った展覧会でした。
その反動か(笑)、今年は特に展覧会などの予定はありません。今年はどちらかというと、よりしっかりと根をはった仕事に注力する年にしないといけないと感じています。これまではCDジャケットなど、音楽系の仕事が中心でしたが、今年はそれらをしっかりこなしつつ、もっと新しい領域に踏み込んでいく必要があると感じています。
カイシさんのプロフィールはこちら
room-composite
Posted on January 7, 2011 06:24 PM
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